2010年08月16日

LED照明製品の課題

単体部品としての高出力白色 LEDチップは、白熱灯や蛍光灯の60 lm/W〜100lm/Wよりも効率が良い。しかし、照明機器に用いたシステムレベルでは、LEDを駆動するためのAC-DC変換やDC-DC変換、電流量調整などに伴う電力損失や、素子の温度上昇による効率の低下があり、これをを最小化しなければならない。

LEDチップからの赤外線によるエネルギー放熱が無いために、機器自体の温度上昇が上昇し易い。LEDの輝度は25℃から100℃の温度変化に対して20%から30%程度低下するために機器の熱管理が重要となり、LEDから十分に放熱できるようにするといった設計が必要になる。一般的にLEDチップ単体での発光効率は、LEDの表面温度が25℃の時の値が用いられている。しかしLEDを実際に器具に組み込んで使用すると、表面温度が80℃前後に上昇し、LEDの発光効率は低下する。さらに、発生する熱により封止樹脂や蛍光材料の劣化が起こるために、LEDの寿命は短くなる。このために、放熱設計技術により大電流入力時でも温度上昇を抑え、高出力化、長寿命化、高総合効率を実現することが必要である。強制空冷機構は一般的な照明器具のユーザが受け入れない可能性が高いため、ヒートシンクなどの自然空冷機構を使ってLEDの温度上昇を抑える設計が不可欠になる。

LED照明機器の国内での適用は全国的規模で広まっており、上手く適用に成功する例がある一方、技術的な課題から問題が発生し、対応が叶わずに撤退する適用分野もあるというのが実情である。

LEDデバイス自体の不具合を未然に防ぐことは当然のことなので除いて考えると、LED照明機器の適用に際して技術的な課題で特に問題となるのが、LED照明機器のデバイスからの発生熱への配慮不足によるものである。この不具合にはLEDデバイス自身からの発生熱が加わって、機器の使用環境の想定外のフレにより、周囲環境温度が急上昇しLED自身が発する熱が加わる結果に耐え切れず寿命が極端に短くなる場合がある。またLEDデバイスの発熱により隣接する構成部材の温度が上がり、プラスティック部品等の部材強度が低下して変形等の不具合を生じ、2次的に電気的な不具合や、強度的な不具合から破損にいたる場合などがある。前者の例は自動販売機へのLED照明の適用であり、全国的に適用が広がったが、沖縄での適用の場合に自動販売機の内部温度が日中で80℃近くまで急上昇してしまい、対応可能なLEDチップも無くどうしても対応ができない例がある。内部は埃の侵入による故障等を防ぐため完全密閉構造であり、このことも効果的な対応を難しくしていると考えられる。後者の例は直管型蛍光灯の置き換え型LED機器である。特に初期の十分な熱対応設計が為されていないLED照明機器の場合に、LED照明機器の熱変形が自身の重量増等により加速して、電極部の接触不良による故障や落下事故に繋がった例がある。

札幌市役所では、職員が体調の異常を訴え調査したところ、LED照明機器のチラツキが原因であった。電源の回路に不具合があり、チラツキが大きいためのこのような問題が生じた。携帯電話に付いているデジタルカメラ等で、蛍光灯を見ると、蛍光灯のチラツキが動くエスカレータのように線になって見ることが出来る。多くのLED照明機器でもこのようなチラツキが見える製品もある。大まかには、半数の製品でチラツキが見える。人によってこのチラツキを見える感覚が異なるが、少数の人達にはこのようなチラツキがはっきり見えることが知られている。

LED照明機器への電気用品安全法PSEの技術基準の検討は進んでいるが、現在はまだ特に基準が無いのでLED照明機器の適用に際して、関係者は、電気的な安全性や、使用環境に十分配慮した適用を心掛けることが望まれる。

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